ー露店ー
[うげ、と呻く千秋を見て不安になる。顔を曇らせる“俺”とは真逆で、“私”は黒く染まりきってしまった白い石を興味津々に眺めていた。やがて露店に着けば、今度はそちらにも興味をうつし]
『へぇ……匂うな。この女。石を売りつけて
ただ儲けているわけでもなさそうだ。』
[完全な転生体ではないため、その思惑を見透かせない。よって、問いただす必要がある。
主導権、交代だ。
目の前で主導権が変わるのも今更だ。小鈴の前では一度しているし、千秋にはそもそもバレている。先ほど視界の端に捉えた少女がいたとしても、気にする事はない。濃くなった陰謀や策略の匂いに何を遠慮する事があるだろうか?]
なぁお嬢さん…この石を作っているのは誰だい?
俺の石は触ったらすっかり黒くなってしまったけど
みんなが持っているのは白いだろう?
[正確には“私”ではなく“俺”が触ったものだし、そもそもこの石は以下略。
“俺”の中の“私”に対する負の感情が(気味悪いことに)何故か減っている。
ただの素晴らしい効能を持つパワーストーンにしては、怪しすぎた。*]
(193) 2016/06/15(Wed) 01時頃