[モナリザが良ければ、と言われ、頷くでも首を振るでもない戸惑ったような反応を見せる。
嫌なわけはないのだ。
初めて姿を見掛けた時から、己とのフォルムの近似性になんとなく好ましさを感じていた。
やがて船内生活で、旧式の部品に今でも拘るその審美眼だとか、最新式と謳われる自分がとても敵わないと思わざるを得ない知識量だとか、そんな色々な局面を知るにつれ、好意の芽はすくすくと育ち憧憬の花を咲かせたりもしたわけで。]
………―…
[要するに、
「多分エスペラントさんは純然たる好意でわたくしに「美味しい」とはどういったことかを教えて下さろうとしているわけで下手に意識してしまっているのはわたくしだけなのでしょうしこんな葛藤悟られたら引かれてしまうかもしれませんそれは嫌ですああでも何の衒いもなく頷いても恥知らずと思われてしまうかもしれませんどうしましょう!!」
まあそんな感じで彼女の電子回路はオーバーワークぎりぎりのところまでヒートアップしていたというわけで。
一見すれば黙りこくっているだけに思える様子の彼女だが、側にいる者には彼女の体内でうぃんうぃんと忙しなく回る冷却ファンの音が聞こえただろう。]
(192) 2013/07/21(Sun) 23時半頃