――→商店街・大通り――
……キャーヨハンさんったら積極的。……ごめん嘘だよ。
[ この場でも握り返されるままの手に、やはり表情は和らげながら。平坦な口調で返した軽口は、流石に即座に撤回する。目の前の地図を見れば、戻る道の見当は大体付いた。勿論不安な訳もなければ、めでたく目的は果たされている。
――それでも何となく暫く黙っていれば。
やがてはた、と思いつけば薄い鞄から筆記具とメモを取り出して、看板を台に文字を書き付ける。]
……ここまでありがとう。またどっかで会うかもしれないけど。――こっちだとすぐ分かるし。
今度お礼にどっか奢らせてよ。
[ アドレスと番号。さらに住所は勿論からかう意味で。最後軽い口調で告げたのには年嵩の相手に相応しくなかったか、とは思いつつ。冗談で済まされるのならそれでも良かった。
斜めに映る相手の顔を眺めながら、先ほどまで握っていたその手にその紙を差し出す。
もし受け取られなかったのなら、もう一度その場で礼を言うだけに留めただろう。]
(191) 2014/10/02(Thu) 00時頃