(どうしよう、逃げなくちゃ……。)
[思う様に身体は動かない、傍から見れば全身血塗れだがその全てが自分の血である。
小鬼に取り囲まれ、彼らが手にした武器で身体を傷つけられれば腕を振るって反撃する。
鋭く尖った爪が赤い軌跡を残して小鬼を綺麗に輪切りにする様に驚いて自分の手を見る。
自分の目にはいつの間にか大型肉食獣を彷彿とさせるクロウナイフが握られている]
(こ、こんな事まで出来るの?)
[近接攻撃はこのナイフでやれと言う事なのだろう、傍目には鋭く伸びた爪で引き裂いているのだが、本人は気付く事はない。
とは言え、現状は多勢に無勢、いくら切れ味鋭い爪で倒せると言っても前後左右どこからでも小鬼達は襲ってくる]
(これは、強いけど……大勢を相手にするのは向かないわ)
[どうにかしてまた空を飛べたらと思う、がそのためには隙を作る必要があった。
逃げたいとさらに強く願うと全身の傷口から血の霧が噴き出して小鬼達の目を眩ませる事が出来た、本人の目にはテレビで見るような白いスモークが噴き出した様に見えているが、とにかくチャンスとばかりに再び空へ舞う]
(190) 2011/10/20(Thu) 22時頃