[苦笑いを罅割れた鏡面は映すリップ音が牢の中に響けば其の唇に尚も、指を這わして]……欲しいモノ、ですか[銀蝶の言葉に黒の瞳が揺れる。彼の言うとおりだった。言いたい事を全て呑み込み、結局出来るのは鏡の破片で傷つけるだけ辛気臭いという言葉には此方も苦笑を。何だか自分達は鏡のように似ているな、なんて考えながら欲しいモノは何かと尋ねる言葉と共に唇拓くは煙の香りと温かな舌ならばとその熱絡めとり、歯列をなぞった後一度唇離して]私の言葉をお聞きになりたいのですか?それは鏡の破片が擦れるくらいに醜悪なものであるかも知れませんのに。でもそうですね、もし欲しいモノがあるとすれば――その煙に酔わせて下さいますか?[そう、告げて再び唇合わせようかと]
(189) 2014/09/19(Fri) 00時半頃