ー本屋ー[エリアスと共に足を運んだ店には。湖色の瞳を持つ年若い青年が。からかいまじりの挨拶に。]こんにちは、ベネットさん。ええ、本はさすがに……かさばるんで。[彼は少しして、エリアスに手記を手渡し。エリアスは魅入られたかのようにそれを読む。その頃合いを見計らい、持ってきた一冊の本を差し出した。自分が故郷を旅立つ際、荷物に入れていた楽譜を。背表紙の糸がほつれており、じきにページは分割するだろう。その表紙はくたびれ、端には赤黒い微かな染み。経年と共に褪色した……人の血が。]
(182) 2012/03/25(Sun) 03時頃