[進んでいくにつれ、地面に点々と落ちる緑に、少し違う、黄緑色が混じっているのを発見した。それ以上に、赤が、鮮明なその色が、混じっているのを。これは、もしかしなくとも。そう考えては、いよいよ緊張を高めて]
……、……!
[程無くして、立ち止まった。ブーツの先が、何かを蹴った。
足元を見ると、何かがあった。踏まれたかのように潰れた、赤黒い何かが。これは、何か。似たものを見た事があるな、と考えた。小学校の頃、美術の時間に不真面目に作った絵の具で塗った石の置き物? いや、それよりも遥かに似ている、身近なものがある気がする。そうだ、厨房とか、肉屋とか、あと食卓、そんなところで見かけるものに、よく似ている。これは、そう、モツに似ている――というか、モツだ]
……、
[迂遠な認識をしてから、首を横に振った。そうも忌避する必要はない、と思い直す。何もこれが人間のものだとは限らない。むしろそうでない可能性の方が高い。悪夢めいた状況だからといって、思考までわざわざ悪夢めかせてどうするのか。
これは恐らく、倒されたお化けの零したものなのだろう、と考える。グロテスクなやられ方しやがって。内心で毒づき]
(182) 2011/10/22(Sat) 05時頃