[彼女の兄がかって助けた相手の息子。それはそれなりの立場にある人間だった。彼は実の親を救ってくれたことに強く感謝し、兄妹に事あるごとに治療を頼んでいて。また2人も社会的立場のある人間である以上は無下には扱わずに居た。それを非常にかいつまんで、単に向こうからのお気に入りで手術を頼まれただけとの軽い調子で返した。]
ま、仕方ないよね。
誰だって腕の良い医者にかかりたいんだろうし。
[そう、腕があるからこそ好き勝手に生きていける。それが彼女の信条だった。腕がない医者など、父のように平凡な医院を持つのが関の山だったのだから。]
まあ、一応ね。
昔のカルテを見つけておいたほうが良いでしょ?
[そんなものはなくても、明日の手術は簡単に終わるだろうと予測はできたが。彼女にとってはカルテの整理とピッパを此処に誘い込むことはどちらも重要な事であった。]
(179) 2011/03/16(Wed) 18時半頃