[どれくらいそうしていただろうか。離れがたい気持ちをなんとか断ち切って、彼女ともう一度向かい合う。]
マーゴ、俺のところへおいで。
ばっちゃんも君のことを心配しているし、うちにいれば人狼からも守ってやれる。
[何より彼女と一時も離れたくなくて。そう申し出てみたものの、きっと彼女の表情は曇っただろう。]
…おばあさまが、気になる?
[ずっと二人で暮らしていたのだから、当然だろう。
なぜ彼女が、昨日屋敷の外にあんな格好で飛び出してきたのか、その時あの老婦人は何をしていたのか、自分には察しがつかなかったが。それでも、彼女の唯一の身内だろうから。]
じゃあ、ちゃんと話をしておいでよ。
なんだったら、おばあさまと一緒にうちに来るといい。ばっちゃんもきっと喜ぶから。
[ね?と、もう一度髪を撫でて。]
待ってるから。行っといで。
[ちゅ、と音を立てて頬に口づけたら。その小さな背中を、見えなくなるまで見送っただろう。*]
(176) 2015/04/22(Wed) 00時頃