―イグニス・ファトゥス 回想(深夜)―
[セシルの謝罪の言葉の後、ゆっくりと立ち上がり、セシルのそばに、膝が濡れるのもかまわずしゃがんで抱きしめる。]
本当はね、君の頭も跳ね飛ばしてやろうかと思っていたんだ。
でもね、こうしてちゃんと戻ってきたから、今回だけは許してあげる。
君の“友人”のヴェスパタインから聞いたよ。
君が重傷で、意識が戻ってなかったって。運んでもらったんだってね?
その怪我でよく戻ってきてくれたね。
彼には、倒れていた君は巻き込まれた目撃者なんじゃないかって言っておいたよ。
そしたらかなり動揺していたっけ。
どう動くか様子を見ろ、とは言ったけど、随分と親しくなったみたいだね?
[セシルの耳元に顔を寄せ、楽しそうにくすくすと笑う。わずかに腕の中のセシルの身体が固くなった気がして、少しの既視感を覚えた。抱きしめる腕の力を強めてみる。]
(174) 2011/11/17(Thu) 11時半頃