ー電波塔・最上階ー
なぁんだ。てっきり此処に何かあると思ったのに。
……そっちの予想は外れ。
[“俺”は初めて踏み入れる電波塔の最上階。以前は何かあった事など知りもしない。(あれば盗んでたかもね)本を読んでいる露店商は、最早必要なくなったせいか営業用の顔をしていないように見える。>>@7]
さすがに露店のオネーサン…とは呼べないよね。
俺は……泥方 ナツメ。なんて呼べばいい?
何でもいいなら、適当に呼んじゃうけど
[そもそも、オネーサンに“見えない”。失礼な意味ではない。分霊体か、仮の姿か、或いは──。
“私”は人間ではない露店商を、ジッと見る。この国の何か、なのだろう。]
……ねぇ、質問してもいい?
何をしようとしてて、どんな結果が“欲しい”のか。
[見透す事が出来ないから、直接聞くしかない。
声を大にして内容を言えないような疚しさを秘めた“陰謀”なのかどうか、天秤を秘めた黒い眼で見極めようとする。
降ろした手は開かれている。実体のあるものからないものまで、何でも盗むこの両手を、握らずに済んだ方が助かる。]
(173) 2016/06/23(Thu) 22時半頃