― 南下:A地区に向けて ―
[疾走。やはり駒らしく動くのはシャクだが、不可なら爆散。
『大したことなかったじゃないか』と酒の肴にでもされるのはもっとシャクである。
走らせるのは、先ほどとはまた別の鉄の塊である。
お子様は後部座席でクレープでもなんでも食ってりゃ良いぜ。
そう笑ってみせたのは、別段皮肉でもなんでもなく。
……まァ、移動が終わるまでに食べ終わってくれると助かるのだが。あまり期待はしていない。
駒じゃないとか、ポイントを取られるのが嫌だとか、色々言ってはみるけれど、
長年、ハリボテの王様をやってきた男の子のヒーロー願望というのは、存外強いのだ。
未だ、手の甲に刻まれたカウント・ダウンは消えることなく。
さてはて、多少ズルもしたけれど、クライマックスにはまだ間に合うだろう。
目指すは、先日にもお会いした哲学者。
大きく外した推理への苦情は、また後ほど受け付けよう。*]
(173) 2015/03/14(Sat) 03時半頃