[真夜中の学校。 そこに、あの時の彼女はもういない。 そこに、あの死の匂いはもうしない。 そこに、あの日から残る教師がいる。 けれど周りは闇ではなく。 月明かりが差す空間で、彼にはそこは光の苑に見える。 弾くピアノの音は、あの時とはもう違う。 誰かが残っていれば、まるでそこにいるかのように帰る事を促して。 誰も放課後残らないように。 彼はそこに居続ける。 彼女が、いた年月の長さを。 贖罪ではない。 同情とも違う。 ――ただ、そこに通う生徒の姿を見続けるために]
(169) waterfall 2010/03/12(Fri) 01時頃