― 花屋 Ramo ―
先ず目についたのは店頭で煙草を吹かす男でした>>120。煙は中に浮かび景色に馴染み消えて行く。僕はあまり煙草は好みではありませんが、その景色だけは好きなのです。綺麗な姿の男…と云うより、店員でしょうか?襟足の長い其れは性別不詳かと疑念を持ったけど、その顔立ちは男。しかし店員かどうかと聞かれれば首を傾げますが。
「あの、」
僕は彼に声をかけました。もしかしたら店を閉じてしまって居るのかもしれない。不安を胸に、ひとつ声掛け。
しかし、彼が此方を向いても向かずとも、その景色の向こうに見えた新たな影>>161に、重ねられた声に、びくりと肩を震わせ口を噤んでしまったことだろう。
無論、その影の向こうにまた、先程連絡を取り合った知人の姿が見えたなら、それはそれでまたひとつ声を洩らすことになるだろうか。
(169) 2014/10/01(Wed) 22時半頃