[丞に複雑な料理は出来ない。出来ることといえば、肉を均一に切ることだとか、薄く切ることくらい。人手の少ない集会所で、江津子と彼女を食べた豚肉が、単に焼かれた状態で供されたのも仕方のないことだろう。新鮮な葉野菜の上に、塩を振った肉を添えて、すぐ横で炊いておいた米と同時に、調理した者の特権とばかりにかきこんだ。食べるために飼育された豚と、人と。味の違いを噛みしめる。肉の固さの違いを噛みしめる。等しく美味しく、絶対的に違うもの] ……うめぇなあ[調理の気配や香りで、少しずつ人が戻ってくるだろうか。人が減れば、腹に入る分量も減る。いくら丸ごと一人の調理ではないとはいえ、丞一人で弔える量ではないし、そうするつもりもなかった]
(168) 2017/12/01(Fri) 00時頃