[ピアノを弾きながら、ふと去年の事を思い出す。>>141
何時ものように教室で一人過ごしていた時に声を掛けられた男の子。
あの時はまさか話しかけられるとは思っていなくてとても驚いて。]
…………ええと、ピアノ。ですが?
[と、声を掛けられたと気付けずに、随分時間を置いた返答になってしまった。
それからというもの、何度かピアノの感想を伝えられる事があったが、それも似たような対応しかできなくて]
……海、ですか。
[一度髪の色を褒められた時もようやくそう返すのが限度だった。
何故、彼があんなに声を掛けてくれるのか?考えた所でそれは分からなくて
声を掛けられるのは困るものの、ピアノの腕を褒めてもらえるのは満更でもなく。
そんな、顔見知りの訪問を、最近ではほんの少しだけ楽しみだと感じてしまうのだった*]
(168) 2020/05/20(Wed) 00時頃