――え、[居てくれてよかった>>117と、聞こえた気がして聞き直す。 背中を押す手>>115は余計なお世話だが、広げられた写真の数々に、悪態つく気も失せてしまった。 夜の暗がりに、赤い灯りがいくつも。屋台くらいはこの国の祭りでも出るけれど、こんな数じゃない、こんな見た目じゃない。 庇から透ける灯りと人の表情に、意識が写真の向こうにとらわれはじめる。]最低だ。[ほろり、零れてしまった言葉。綺麗だ、と思って。素晴らしいと思って、その反動。 感嘆の吐息に紛れてしまうくらいの音量だった。聞こえていなければいいと口を噤んで、そっとゴロウを窺う。]
(167) 2015/08/09(Sun) 00時頃