……石炉知人、って。いい名前だよね。
[ある日、割と唐突に、そんなことを彼に言ったことがある。たぶん眠かったんだと思う。
呼びやすいので、普段は愛称の『チト』で呼んでしまっているし、そちらもやや小柄な風体に似合い、かつおもちゃのラッパのようで可愛いと思っているのだが(トテチテタッタ)。実はずっと、本名のほうが、より彼らしいと感じていたりする。
寒い冬の日に、石の炉に灯る火。こことは違う国の、ほっとするような素朴な温かさを思い起こさせる響き。
それでいて、当てられた字は知の人だ。温かさと賢さ、両方を備えてほしいと願われたのかもしれないし、別にそんな意図はななったにしても。]
似合うと、思うよ。
[そう言ったとき、彼はどんな反応をしたのだったか。
その話をしたのは、その時きりだ。
なお、ある意味『知』の象徴であるのかもしれない化学部への勧誘>>2:263は、断固として断り続けている。*]
(166) 2022/09/07(Wed) 23時頃