――、…
[ やがて本屋の前に立つ、文面通りの相手の姿と>>106、目が合ったか。つばを上げたキャスケットの奥から覗く変わらない鳶色に、歩幅を伸ばし近づいて行く。
――店前に>>88 傘を借りた少女の姿があるのには気付かないまま。しかし陰干しにして室内に閉じ置いたままであれば、その時点返せることもなかったが。
互いに向き合って軽い挨拶に一間を留めれば、マフラーに覆われていないそこが問いを投げるのには小さく頷いて。
その視線が自らの襟元から地へと落ち着く>>107のには、首を傾げたままその線を追いかけている。
――2人で、と。先を示すように、友人へと手を伸ばしかけて。
“どうする”と己を呼び語尾を上げた相手が、キャスケットを外せばその頭には、
黒く硬く伸びた――角、だろうか。
現実味が無い、とどこか遠くに思いながら。友人の顳かみ辺りから生えるそれに、小さく暗灰色を移ろがせる。]
(165) 2014/10/07(Tue) 23時半頃