[ あの日。ロクヨンで。
 祭囃子の音色が遠くにきこえていた。
 目の前でリンダが着衣を乱し始めた時、ああ、もうだめだ、と観念して、今までライトニングを使っていても人前では外したことのなかったヘルメットを脱いだ。リンダのしなやかな手が頬に伸びてくる。そっと制して、次に装備をはずし始めた。
ちょっと待って…。
 間抜けかもしれないけど、リンダにそう言って待ってもらい。甲冑をすっかり外して、下に着ていた上衣と下衣だけになると、じっと見ていたリンダにまた抱きつかれた。あとはもう、無我夢中だった。
 途中、耳元で”プレゼント…集めて…”と囁かれた気がするけど、自分の心臓の音が煩くて、はっきり覚えていない。
 あれは、何だったんだろう。
 初めて会った時のリンダも、少しおかしかったけど。
 目の前にいる秀とどうもマッチングしなくて。あのとき一体どうして誘ってきたのか、訊いてみたい。 ]
 (161) yuzuru  2011/02/28(Mon) 05時半頃