[ふるふると振られる首、続く言葉>>149に
眉尻を下げ、もごもごと「汚くなんかない」
そんなような言葉を口の中で紡ぐが、彼に否定されると強く出れずに ぐ、と口を引き結んでシャワーヘッドを手渡した。
“酔い”も次第に醒めてきたのか、次第に冷静な思考も取り戻していく。
そんな頭で思うのは、……今まで夢中で彼を貪っていた自分を思い出して羞恥に震えるより先に、彼への心配――身体面だけではなく、精神面の部分も含めて――だった。
目の端に浮かぶ涙は見えていたけれど、それをこの手は拭っても良いのだろうか。
そんな躊躇を覚えて、伸びかけた手は中空で止まり握りこぶしを作った。
彼の表情に浮かんでいる笑顔も、何処か寂しげに映って]
……背中くらい、ベネ先輩が言うなら、いくらでも。
[良いに決まってるじゃないか。
だって、俺は――…
――――…… だって?
巡った自分の思考にはっとしたのも、一瞬のこと。
彼の様子を気にしながらも、石鹸を手に取りガシガシと頭から身体を洗い始めた]
(160) 2014/10/29(Wed) 23時半頃