[突然の来訪者の声は、遠く聞こえてきた。>>95累は来訪者を知っているようだが、“私”も“俺”も覚えはない。しかしわかる。悪魔憑きの累よりも、“俺達”に近いことを。] 『なぁ、もしかして──いや、なんでもない。 外、きっと戦ってるぞ』[思考の中で“私”に話しかけつつ、それでも“俺”は、そちらに向かうか戸惑っていた。その来訪者に会った時、良くも悪くも、どうにかなりそうな気がしたから。何となく賭けの気分。会ってみたい。会うのは怖い。両方同じ。そう思っているうちに、声は聞こえなくなる。それを残念に思っていた代わりに聞こえてきた音に、外で何か起きているようだと気づく。“私”は、遠く聞こえた同類よりも、累がどうするか、ジッと見ていた。**]
(159) 2016/06/19(Sun) 03時頃