[飴の屋台の前には、何人かの客がいて。飴が作られていく様から目が離せない子どもたちに、飴師は笑う]
はは、すごいやろ。ここの飴は日本一やでぇ?
ほんまほんま。何せ兄ちゃんなぁ、この腕見込まれてアヤカシに誘われた事あるもん。
……えー、嘘ちゃうよ。兄ちゃん嘘つかんよー?
[嘘だ、と疑う子どもたちに、にこにこ笑って]
まだ兄ちゃんが、飴細工を爺ちゃんから習いだした、子どもの頃の話やけどな?昔は兄ちゃんも可愛い子どもやってんでえ。飴一生懸命作るのに夢中になって、いつの間にか夜になっとてな。
したらな、すーっと人が現れてな…『お前、まるで妖術使いみたいだな。面白い』って声かけられて、連れていかれそうになってん。
じっちゃばっちゃと、姉ちゃん二人置いていかれへんからって、決死の抵抗して逃げたから大丈夫やってんけどなあ。
[からからと笑う。そんな話を聞かされた子ども達は、怯えた表情で互いを見合っているが…]
(159) 2011/02/11(Fri) 16時頃