[ジェレミは音になる知識の端々へ、ゆるく頷き、相槌を打ちもし、耳を傾けている。
「彼女」の髪に絡めた指先を遊ばせながら、幾層もの時間のなかに、理解に関連する事象を思い浮かべ]
俺たちも覚醒した脳を持っている。
その点のみ鑑みるのであれば
――変容せしめた生命を観察事象から外すのであれば、
俺たちは同種にも催眠がかけられる。
貴重な知見だ。
この古城内で試すべくはもちろんないが、次にハンターと相見える機会があれば、試みてみよう。
[思索のひとつを、今後の課題として脳裏におき]
であれば、思索の歩みを進めるに至り、
……うん、俺たちは、催眠状態にない。
微睡みを纏うも、死せるに同義と認識するも、やはり個々の脳みそにしかその由来はない――一種の催眠だろう。ね。
我々の意識は年月をおいてなお清明であろう。質を下げ、視界に収める範囲を自ずから狭めるというなら、それは、逃避に他ならず、逃避たるは逃避のもととなる事象を、その脳内に住まわせている。
ふむ。あれらの脳をかち割ってみる趣味はないけれど………まあ。いいか。
(158) 2018/11/06(Tue) 08時頃