―3F 個室>>145―
……、―― ドナルド?
……どうした の さ。……どこか、痛い?
[形よい眉が寄せられるのを見て、フランシスは撫でおろした手をもう一度伸ばして指先で目元に触れた。]
……、…… 忘れる、……か
[耳に心地よいバリトンが、常より低く囁くのにフランシスはどきりとした。――声、記憶を擽る。忘れられるわけもない、恋慕と、喪失と]
頑張り、たいけど 難しいな……
ちょ、ドナルド、…!?
[彼の動きは想定外だったのか
フランシスはうろたえて、妙に恥ずかしい心地を覚える。
けれど、折角こうして、気に掛けてくれたのだから、――邪険にする理由もないように、思えて。そろと見上げた後、困ったような、照れくさそうな表情で微笑んだ]
すっかり、大きくなった……なぁ……
昔は、こうしてたの、おれのほうだったのに―――
(157) 2014/11/16(Sun) 02時半頃