"我はゆりと一緒に居たい…"
[遠い日のこと。
毎日のように神社に来ていた主人が突然、ぱたりと姿を見せなくなって、初めて、気づいた。
己がどれだけ主人を心待ちにしていたか。
どれだけ己が、彼女を求めていたかということに。
すぐに亀吉から事情を聞いて、半年以上も掛けて彼女を探した。
やっとのことで見つけ出した彼女は、転院の効果か、一時的に熱は引いてはいたが、病状は変わらず。
寧ろそれは、年々悪化していった。
目だけでなく耳も聞こえなくなり、いよいよ死を待つばかりとなったある日。
病室で眠る彼女を見て、己は"力"を使うことを決意した。
長年、神として在った己ではあったが、一度も行使したことはない力。
しかもそれは、誰に願われた訳でもなく。
己自身の為に。己の意思で。]
(156) 2012/08/11(Sat) 18時頃