――翌日・私室――
[机に向かい、キーを叩く。
平時ならすぐに終わるはずの、診察の合間のデスクワークは滞っていた。時折ぼんやりと、視線を窓の外に向ける。
やがて立ち上がろうとして、腰の痛みにびくりと震えて顔を歪める。]
……、
[仕事に追われる日々。
叔父をはじめとした一族の支配から抜け出したかった。
いくら努力しても、手のひらの元にいつのまにか戻ってくる。
もういっそ、すべて投げ出して、誰かに委ねてしまえば。
そんなことを考えたことはあったけれど]
……だめだ、
[否定の声は小さい。かぶりを振ると、壁に手を着いて床を踏みしめた。
予定をぼんやりと思い出しつつ、自室を辞してどこかへと。
机には、コリーンの入院費を上向きに修正した書類の一片を残して>>14。医師や担当看護師には、すでに伝えられているだろう*]
(156) 2011/03/14(Mon) 16時半頃