[初め、要領を得なかった。何を言っているのかわからなかった。人狼についてはぐらかしている、とも思ったが、朧に向けての話を聞くうちにわかった。
このヤニクという男は、人に害なす獣だと決まらない限り、"彼ら"を人狼と呼びたくないのだ。]
わかった。ああ、わかったよ。
その通りだな。俺はそいつが"人狼"かどうかは、知らない。どういうやつかもわからない。あんたは昨日、なんつーか、あー、ちょっと風変わりな友達とお茶した、そういうわけだ。
あんたの言いたいことはわかるよ。人ならな、俺も殺した。もしかしたら人狼が食べる分しか殺さないなら、それよりもずっと人を殺しているかもしんねー。
今だって、持ってる武器を使えば簡単に人を殺せる。朧もそうだ。
なら、はっきりすべきことは一つだな。
あんたの友達が人狼かどうか。
俺たちが再び、楽しかったり退屈だったりする日常に、戻れるかどうか、だ。
[俺はカバンから大口径ライフルを取り出し、組み立てる。海外で大型動物の狩猟に使われるものだ。]
人狼ならば、俺は撃つ。
そうでなければ……俺は見逃すよ。
[力を振るう分別がないのなら、俺もまた人狼と同じだからだ]
(154) 2018/04/04(Wed) 12時半頃