―一方その頃 王都セヴィアルファ城 玉座―
[紅の椅子に腰掛ける人物が大きな欠伸をした。
肩を軽く回しながら、困惑の表情を浮かべる文官たちの話を聞いている。]
『あれ?もしかして疑ってる?
《聖火の勇者-ホーリーブレイズ-》セイクリッド・レティーシャが、あんな若くてかわいいピッチピチの女の子なわけないって。
いいじゃないか、若くてかわいいほうが。
ん?そういうことじゃないって?』
[城を訪れた自称勇者を受け入れ、VIP扱いの待遇をしている。
それは、この椅子に座る者がかつての勇者の存在を知っているから。
迎えたその時には懐かしく思えたと同時に。
過去にこの玉座に訪れた男のことを思い出した。]
『世界は壊れた。川を水源とした都市は壊滅。
あの人も飽きないものだね。
1000年前と変わらない。
そう言うと蹴られてしまいそうだが。』
[そう笑いながら、紫の瞳が外を見る。]
(153) 2012/02/07(Tue) 05時頃