―Ignis Fatuus・回想―
[死体の搬送や処理の指示をだし、住居になっている二階でシャワーを借り、部下たちが血の海だった床を綺麗にし終わった頃、身なりのいい女性が入ってきた。>>143、>>146
そもそも忘れられたような街の外れにあるこの酒場に特定の人間以外の一般人がくることは珍しい。足取りが怪しく、すでにかなり酔っているようだ。運がいい女性だ。もう少し早ければ、あの惨状を見られていれば、命はなかっただろう。だが、もう少ししたら、部下が“人形”を連れて報告も兼ねて戻ってくるだろう。それまでここにいられると厄介だ。すでに大分飲んでいるようだし、酔い潰そうか。そう逡巡し、すっと隣の席に座った。]
『えぇ、まだやってますよ。
あと一時間ほどで閉店になりますけれどね。何をお飲みになります?』
[トムがいつもと変わらぬ調子で注文をとる。]
(153) 2011/11/15(Tue) 02時半頃