[父親はから受けていたのは、徹底的な教育。
何よりも完璧でありなさい、と。
無駄なことはしないように、と。
幼い頃からそれを、当然のように教え込まれていて。疑問を抱くことは無かった。
就職について考えていた時、父親から受けた助言にも。
「好きなことをやってもいい。ただし、やるからには必ず成功させること。
後から人生の汚点だと思うことが無いように。」
裕福であったため、この先も裕福であると思い込んでいたため、私に自由を与えたその言葉は。
進路も自由に選べない他の家庭から見れば、優しすぎるものだったのかもしれない。
絵描きを志したのは、そこまで深い動機があるわけでもない。
ただ、“好きなこと”といえば何かを考えて、最初に思い当たるのがそれだっただけのこと。
ただの趣味レベルのことを仕事にして生きていくことの険しさは、正直想像すらしていなかった。]
(153) 2015/03/07(Sat) 20時頃