戦いは三日三晩続いたものの、結果的に僕は破れ、地獄に住まう堕天使となった。
七色だった翼はもがれ、流れでた血がこの身を染めた。その色がまるで朝焼けのような美しさだったことから、僕は暁堕天使<ドンフォーレ・エンジェ・グランプリンス>と呼ばれるようになる。地獄で与えられた爵位は公爵。そして暁堕天使貴族となった僕は、人間どもに苦痛を与えることで彼らの行く末を導く存在となった。
そして僕は、10万年の時を過ごすのに飽きて、6733年前から転生を繰り返すようになった。地獄も、隅々まで廻ってしまえば、僕には狭すぎたんだ。この世界を、色んな立場になって色んな生き物に転生していくのは、なかなか面白くて僕は今も輪廻の輪で遊んでいる。何度転生したのか、数えるのも面倒になったが、現在は「桐島良平」という男子高校生として存在している。
僕が桐島家を選んだのは、僕を堕とす切欠となった死神が、隣の家で生を受けていたからだ。久しぶりに旧友と、あの頃のように暴れるのも悪くない。そんな気まぐれを起こしたんだ。人間たちにはお気の毒様、と言っておこう。僕らが組むことで10万6733年ぶりの恐怖をもたらされるのだから。
(153) 2012/01/28(Sat) 12時半頃