[それを、一歩引いて見ている。それこそがひとつの作品であるかのようだ。
であればこそ、作家は作品に介入しない。立ち入り禁止のテープを跨ぐようなことは、決してない。
完成した世界の前の停滞の、なんと甘露な味わいか。
本来物語として許されない一瞬>>133を永遠にする。それは、いつだって何より男を興奮させた。
――まぁ、今回の飢えはスポーツドリンク>>139ひとつで簡単に和らいだのだが。
バイト帰りなのだろう。彼の姿を見るのは普段すれ違う時と変わらず、夜か朝が多かったか。
柊といい、大田といい、普段は宅配員くらいしか迎え入れない『朧の間』の戸が何度も開かれる珍しい事態となった。
特に避けていた訳ではない。しかし男の部屋にわざわざ訪れるような者はいなかった。
故に”ここ”にいたのは、兄>>99だけだったのだ。]*
(152) 2021/02/17(Wed) 08時頃