[中小企業の社長であり、失敗を絶対に許さない、完璧主義の父親。
普段は優しいが、一度怒らせると手がつけられない、ヒステリックな爆弾を抱えた母親。
その2人の間で自由気ままに育った娘が私。
父の事業のおかげで家計には余裕もあり、母親が心の底から怒るような事態も無く、仲良く暮らしてきた。
それは奇跡のようなものだったのかもしれない。
私たちの家族が、少し巡り合わせが悪ければ簡単に崩壊してしまうほどの危ういバランスの上で成り立っていたことなんて、
想像していなかった――いや、想像したくはなかった、のほうが正しい。
そんな我が家に数年前、とある事情で居候することになった、幼馴染のテル。
彼が来た時には、もう引き返せないところまで歪んでいたのかもしれない。
そんな事情を、彼が知っていたかどうかは分からないけれど。]
(152) 2015/03/07(Sat) 20時頃