[さあ、現実から――厭なリアルから逸脱しようと、重ねられた手を、並ぶ脚を、そして夢物語の扉を開ける前にとちらり、懐の携帯を覗く。そしてそのおかしな文字列には思わず肩を震わせ咽喉をヒクつかせてしまったけれど、直ぐに咳払いをしては電源を落とした。
そう、暫くは、来るかもわからない猫からの連絡や、友人からの連絡や、臨時の為に入れておいた大学の連絡も、学生の携帯には届かない。現実の扉は閉ざされて、夢に浸る為の基盤が作られて行きます。
ぼんやり、微温湯に浸るような脳芯は、じわじわ夢の嬉々とした雰囲気に呑まれては、ぞくぞくと背筋を震わせるのです。
夢へ入る前に、リアルの自分に告げられた至極真面目な、普段なら喜ぶべき肯定の印>>131には――雑踏に紛れる笑声が、「そんなわけ無いでしょう」と、否定を上塗りしては笑い去り、…期待はダメだよ、そう、いずれにしろ好意なんて早々向けられるものでは無いからと、ただ無い殻に篭るのでした。
そして殻に篭り俯く自分が、彼の頬が更に緩まったことには当然、気付くわけもないのです。*]
(151) 2014/10/03(Fri) 20時半頃