ー御渡公園・電波塔付近ー
[公園で遊ぶような年齢を越えてしばらく経つので、足を踏み入れるのは久しぶりのこと。電波塔となれば尚更だった。]
ここまで近づくのって、遠足以来かも
[そう、あれは小学校低学年の春…と思い出を振り返ってもいいけれど、赤と白の電波塔の周りは悪魔の血肉と死骸だらけ。遠足気分にはなれそうもなかった。]
何か──いる、なぁ
[昨日の“少女”とは違うが、人間ではない気配を感じて、“俺”は電波塔を見上げた。
禍々しく、凶々しい何か。
だけど“苦手”なのは“あの子の方”だ。
彼女が狛犬の付喪神だと知っていたなら、苦手な理由もわかったかもしれないが、生憎今の“俺”がそれを知る事はない。
“私”の方は、かつての同胞とは違うものの、しかし似たような気配に目を細める。
ここからでは気配の主の姿は見えないものの、凡そ露店商の女だろう。とW仮定Wする。
悪魔憑きや、真白のマガタマを手にしていた人間が首謀者とはとても思えない。首謀者に加担している者が他にもいるかもしれないが、それは“私”の知るところではない。]
(150) 2016/06/23(Thu) 19時半頃