[どこかに在るのならばそれでいい。捜してしまうのは、もうどこにもいないからだ。少なくとも、現在と未来にはどこにも。目の前で彼女は――] 懐かしい、味だな。[頼んだセットの発酵茶は、地球の、いわゆる中国茶に近い味だった。おそらくは同じ製法を作っているのだろう。この星には、「漢字」があふれている。地球を元とする文化を持ち込んだのは、当然ながら移民だったらしい。自身と同じ、中華の民が移り住んだのだろう、と男はこの星を知ったときに思ったことがある。今であればこの星以外で「漢字」を見ることは珍しい。違う星で、同じように進化した文化はあっても、全く同じではないからだ。茶菓子は甘ったるい豆菓子だった]
(149) 2014/05/19(Mon) 01時頃