( どうしてそんな「ことをする」? ……でも、そとは兄さんを「奪った」)[彼はちらり、赤い鸚哥に視線をやる。 あれは本当の「兄」ではないのだろう。恐らくは。 それでも、フィリップは あの生き物に縋らざるをえなかったのか。] ――、 あゝ、…………[小さなうわ言は、彼の心を大きく抉る。 それは目の前の獣人の腕が 子供のように伸ばされているからかもしれない。] (『……おれは卵をやぶつた。 愛と悦びとを殺して悲しみと呪ひとにみちた仕事をした。 くらい不愉快なおこなひをした。……』)[脳裏に過ぎるは一片の詩]
(149) 2015/07/11(Sat) 03時頃