─ 或る夏の日 ─
[夏休みになると、運動部の合宿が盛んになる。
養護教諭として同伴を求められることもしばしばで、そうなると、仕事のためとはいえ、暫く鳴瀬と離れなくてはならない。
……なので合宿の前日などは、いつも以上に、執拗に鳴瀬の身体中に口吻の痕を残したり、何度も繰り返し自分の名を呼ばせたりと、強く所有を主張した。
一度たがが外れてしまうと、我ながら、ひどい独占欲だと思う]
………………。
「先生、先生! 着きましたよ!」
……ぇ、あぁ……はい。
すみません、思いっきり寝ていたようで……。
「ハハッ、寝不足ですか?」
[毎日暑いですからねと笑うサッカー部の顧問に、そうですねと曖昧な笑みで返す。
まさか、明け方近くまで事に耽っていたなどと、間違っても悟られるわけにはいかない]
(147) nordwolf 2011/05/27(Fri) 01時頃