[驚いたろうか。それとも、祟り神めと詰られたろうか。
何にせよ、既に口にした言葉を撤回する気もなく]
音と風に依りて、祟り神は訪れを成すのでしょう
ならば、音を司る身で「聴こえぬ」方が妙というもの
……ですからわたしは、甚六さまを疑っております
[言葉を切って、見上げる。じっと目を見据え、口を開く]
昨日もたらされました報、【志乃は祟り神ではない】
――それが一体どちらさまの言か、わたしは存じません
それ故、志乃は志乃自身、祟り神でないとは断言できませぬ
志乃を不気味と思われるのでしたら、どうぞ追放なさいませ
……今申しましたこと、誓って嘘偽りはございません
なれど、信じるも信じないも、わたしの決めることではございませんから
[混乱を。混沌を。招けば良い。皆の間に。
時間稼ぎにくらいは、なるだろうと――口の端を持ち上げて]*
(145) 2013/08/14(Wed) 20時半頃