[トレイルを見送って、少女は律儀にこちらに向き直ってくれる。 兔に似た記憶>>122を見たという話を少し憂鬱そうにして。 彼女は、逃げていく記憶が側にいてくれればいいと>>123。 そんなことを言ってくれた。] ──そうだね、ありがとう。 けれど、そうだな。 私は──せっかく出て行ったのだから、先に天国で待っている妻のところに、思い出話をしに行ってくれたらいいなって思うよ。 それ以外の大事な相手の元に行くと、私より先に妻に逢いに行ってしまうかも知れないからね。[少しばかり茶化すように言って。 頭を下げる少女の、亜麻色のつむじを愛おしげに見つめた。 ──あぁ、彼女の病状がこれ以上悪化しないといい**]
(145) 2015/06/08(Mon) 01時頃