[で。
どうしてこんなに、何やかんやと思考を飛ばしていたかといえば、
現実じゃない、他のところに意識を持っていっていないと、この状況にとても耐えられなかったからなのである。
だっていま自分がいるのは、よりによって人が一番多い時間帯の商店街なのである。
休みなのに急に仕事が入り、でもそれも午前中で終わってしまって、午後は午後で改修工事が入るからとか何だとかで追い出され。
じゃあもう早く帰ろう、と思ったらこのザマである。
思考を止めたが最後、今まであえて考えないようにしていた"人の気配"が雪崩のように押し寄せる。
まじむり。吐きそう。
人の声が頭に響いて、ぐるぐると目眩がする。
呼吸は浅いし、冷や汗は止まらないし、
絆創膏を貼り、もう治ってきた筈の手の傷すら、痛みを主張してくる。気がする。
もういっそ、どこか落ち着いた店で人が少なくなる時間帯まで休んでしまおうか。
そんなことを思いながら顔を上げて、見渡した先には「COFFEE NARUMI」の看板。
あそこはどうだろう?…落ち着いたと言うには、ちょっと客の入りが多い>>123、か?
でも店の雰囲気的には良さそうな…なんて考えながら近付いてみたところで、はっと思い出す。]
(145) 2021/02/17(Wed) 02時頃