― スワンプ・ガールの日常 ―
お父さん、お母さん、おはようございます。
[普段の"彼女"と同じように、いっそ滑稽なくらいに丁寧に朝の挨拶をしてダイニングの椅子に座り、中年の女性が焼いたトーストへと手を伸ばした。]
『司ちゃん。今夜は留守番お願いね。』
何処か出かけるんですか?
『従姉の美桜ちゃんの結婚式に行ってそのまま一泊してくるって、この間話しただろう?』
……そうでしたね。はい、大丈夫です。一人で留守番しています。
["美桜ちゃん"とは誰だろう、と"彼女"の頭の中を探ってみるけれど見つからない。
そもそも"彼女"は8歳の時に父親に遺棄されて、この二人は里親から養親になった人間ではなかったか。
ということは、その"美桜ちゃん"とやらと"彼女"は面識がないのかもしれない。当たり障りのない反応に留めておいた。
実際、そうしていればこの養親は欠片も疑いはしないのだ。]
(142) siro 2013/07/18(Thu) 00時頃