[不審者、というルーカスさんの言葉はもちろん耳に入って。忘れろと言われても忘れられない]
あたしのお姉ちゃん、世界が終わるのが怖くて部屋から出られないってわけじゃ、ないんです。
男の人からいっぱい気持ち悪いメールが来て、それで怖くて出られなくなっちゃったの。
お姉ちゃん、美人だから。
[忘れろ、という言葉に、なんとなくルーカスさんの気遣いを感じた気がして、そんなことを言う。言われる前から、女性は人一倍危ない環境になってしまったことは知ってるって伝えて]
だけど、わざわざこんな状況で高校に来る物好きさんは、そんないないって思ったから。
ルーカスさん、どうしてこんなとこに?
……えっ。
[向けられた背中に声をかけていると、ルーカスさんから上着が飛んできた。目を丸くしてルーカスさんの背中と、プールサイドに落ちた上着を交互に見て]
わ、す、すみません!
ありがとうございます!
(141) 2012/07/19(Thu) 23時頃