[首を振って、頭を過った仮説を追い出す。出ない、という選択肢は自分の中にはない。確かに、この傷を背負って生きる道は、苦しくて辛いものだ。しかし、醜い怪人でも誰かを笑顔にすることも出来る。ここに来た時に出会った者達の様子を思い出す。手品で取り出した花を渡した時のこと。驚いたように目を見開いた後に、ふっと笑顔になってくれた様子なんて、何よりも嬉しかった。これからも、彼らのような子供に夢を見させてあげたい。そう思うのだ。彼らの事情は殆ど分からない。けれど、未来ある彼らの夢が消えてしまうなんて、潰えてしまうなんて、余りにも勿体無い。そう思う]
(140) ふゆのひと 2015/02/13(Fri) 01時頃