―海のしずく前―
[道具一式が入ったキャリーを引く男は、クラウンの時とは違い黒いシャツに黒いスラックスという服装。クラウンの印象が強ければ強いほど、同一人物だとは気付かないだろう。
人相の悪い顔であたりを見渡して、視界の端に先ほどバラを差し出した男を見つける>>125。
今思い出したと言わんばかりに、貰ったお菓子を取り出して中を覗き込む。
あの時のクラウンメイクは全て隠してくれる。
今のノーメイクは、隠せない。
男は口端を歪める。]
変なしゃべり方で――配るのは、
薬草が塗り込まれた、お菓子?
[少しく細められる目は観察するようにお菓子と元の持ち主を眺めて]
あーやしい
これ食べた人死んだりして、な。
[呟いた一言を隠す様に、人差し指を唇の前に持ってくる。ほんの少しだけ歪めた唇を戻せば、感情がそこにあった形跡は消えて元の淡泊な面持ちだけ。]
(140) 2011/10/19(Wed) 19時頃