〔ばさばさと落ち着かない様子の鳩に、あんまり暴れると羽が抜けて落ちるわ、なんて忠告を一つ。無論言葉が通じるとは思っていない。
円らな瞳、真っ黒な瞳。黒曜石みたいだ。
鳩から視線をあげて、青年を見る。人の良さそう、というと語弊があるかもしれないけれど、親しみ易い笑顔の青年だった。肩掛け鞄からは、原稿用紙が顔を覗かせていただろうか。>>88
――作家さん?
そんな事を思っていると、降ってきた言葉に驚いた。
さあっと頬が赤くなるのを、誤魔化すようにまた笑う。〕
ふふふ。ありがとうございます。
お兄さんみたいなかっこいい人に言って貰えるなら、
お世辞でも嬉しいわ。
〔軽くお返しをして、切手を渡す。>>134〕
……イアン。イアンさんね。わかったわ。
じゃあ、私の事はシェリーって呼んでね。イアンさん。
〔この雪燕内、短い時間でどれほど逢えるかもわからないけれど、名乗り返した。〕
(140) 2015/11/28(Sat) 22時半頃