[橇が外れてしまわないか、ハーネスが留まっているかを確認。
怠れば、自分の怪我やトナカイの故障にも繋がる重要事項だ。
ピートにもチェックを頼み、大丈夫との声を機に橇へ乗る。
橇に乗る際、立ったり座ったりは個人の自由らしく千差万別。
尻が痛くなるから空を舞うまでは立ち、安定すれば座る者。
最初から最後まで空気抵抗を甘受し、空の旅を満喫する者。
自分はというと、地上では座った状態で飛び立った瞬間につい立ち上がるという、不器用極まりない走行法しか出来ない。
そもそも、何故配達学部以外にも橇の実習があるのか。
一通りの技能があってこそ一人前のサンタクロースだと、校長の言いくるめに合ってからは文句を言わずにいた。
橇制作も、実際に乗らなければ分からないこともある。
それに配達以外に、普段の移動手段としての活用も出来る。
理に敵っている。だが、表情が乏しかろうと怖い物は怖い。
級友に対してもそうだ。冷やかしを混ぜてしまうのも、
近付き過ぎ、関わり過ぎ、深入り過ぎてはないだろうか、と。]
(138) 2015/01/24(Sat) 02時半頃