[…どうやら、眠っていたらしい。
寝床となっていた、くたびれた座椅子から身を起こす。
家を出るには、早ければ早い方が良い。
それは理解している。理解しているのだが。]
……無いよなぁ…。
[一応はきちんと揃えて置いてある、祭りの為の白い正装を見れば、それがあまりにも似合わなかった自分を思い出して苦笑する。
そして、これまで教わってきた様々なことを頭の中で反芻する。主に、礼儀だとかしきたりだとかに関する部分を。]
……別に、絶対着ろ、ってわけじゃねえんだ。
[そう、勝手に結論づけて。
しかし、少しは気を遣わねばならないだろう、と判断して、白の布を1枚、肩に羽織るようにしてかけた。]
…めんどくさ。
[人のいる場所では決して言えぬ独り言を呟いて、外へ。
もう戻ってこられないかもしれない、しかし未練も何も無い家を背に、のたのたと広場への道を歩み始めた。**]
(134) 2012/03/14(Wed) 17時頃