ー クレープ・へグリ 店内 ー
[気怠げな表情がデフォルトのようなこの男だが。
やぁ、彼女の言うところの『意味のあるコトバ』>>@23とやらが、男に与えた変化はそれは凄まじく。
今までの自分は眠気まなこだったのかもしれない、なんて考えながらも、膝の上、手は自然にお決まりの動作を。
ここ数日で随分とスムーズになったものだ。この禁煙社会に生きる上で、一切必要のないスキルではあるが。
……ーー嗚呼、死んでるんだった。
何はともあれ、向けられた背に向かって掲げられた煙草は、数秒とせぬ内に黒い鉄の塊へと早変わりし。]
……あァ?羽はねェな?
[男は首を傾げれど、なんてことはなさげに引き鉄に指をかけたまま。
銃口をリアリティのない女に向けて、コドモにも確認を促してみたりする。
二十歳になったばかりのこの男は、この世の大凡のモノは金か権威か暴力かハッタリで手に入れることが出来るとそれは良く知っていて、
そしてまた、そのどれを以ってしても買えないモノならば、それはどう足掻いても自分には手の届かぬモノなのだと、大筋は正しく理解していたので。
セーフティー・ゾーンの消え失せたオマケの世界じゃ、躊躇する理由なんてないよな。]
(132) 2015/03/13(Fri) 22時半頃